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八十八夜と「茶畑に立つ扇風機のヒミツ」

今年も八十八夜がやって参りました。今年は、昨日(5月2日)がその日に当たります。

八十八夜(はちじゅうはちや)は雑節のひとつで、立春を起算日(第1日目)として88日目の日を指しています。八十八という字を組み合わせると「米」という字になることから、この日は農業に従事する人にとっては特別重要な日とされてきました。

八十八夜とお茶の関係は、有名な茶摘みの曲の歌詞「夏も近づく八十八夜〜」から連想される方が多いようで、八十八夜のその日ちょうどからお茶を摘むと思う方もいらっしゃいます。

産地の気候により多少前後はありますが、4月初め頃から5月にかけて全国でお茶が生産されていますので、「八十八夜は旬である新茶シーズンを表す言葉」というイメージでとらえていただければよろしいかと思います。

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お茶にかかわる者にとっても、「新茶」と「八十八夜」は、大切な季節の言葉です。

「新茶」とは冬を越して初めて出てきた芽「一番茶」を摘んで作ったお茶を指しますが、蓄積された養分を沢山含んでいるので、不老長寿の縁起物として贈り物にも喜ばれています。

「八十八夜」の頃になると、気温も上昇して茶畑の新芽も緑の絨毯を敷き詰めたようになり、お茶の産地では茶摘みに大忙しの時期になります。

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例年、静岡では4月後半から5月中旬に、鹿児島県では4月初旬ころからその年の新茶が出回りはじめます。今年のように3月に温かい日が続いてまだ気温の安定しない時期に萌芽してしまうと、遅霜(4月5月になってから降りる霜)が心配になります。

特に最近では品種改良が進んで早生品種(生育期間の短い品種)に人気があり、早い時期に新芽が出ることから、より遅霜の影響を受けやすくなっています。特に4月頃の気温は上下の差が激しい為、ところによっては遅霜の被害を受けてしまいます。

ところで皆さんは、この写真のような「茶畑の中に立っている大きな扇風機」を見たことがあるでしょうか。これは、生産家の皆さんが仕事をしていて、暑いから涼しくするためにあるわけではありません。

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その名を「防霜(ぼうそう)ファン」と呼ぶのですが、茶の新芽に霜が当たらないように、高いところから風をあてて地表付近の冷え込む空気を動かし、凍霜害を避ける為に使われるものなのです。

農産物でもあるお茶は、自然の恵みを受けると共にその脅威にもさらされつつ、なお共存しています。