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お茶業界で使われていた暗号?「符牒(ふちょう)」のお話

符牒(ふちょう)という言葉をご存知ですか?

同業者同士でのみわかる言葉で、特に他人に知られたくない取引上の数字や言葉を別の表現で表した言葉です。

みなさんが何気なく使っている「むらさき」=お醤油、「上がり」=お茶も符牒の一種です。生活の中で何気なく使っている言葉でも、業種内での符牒が結構使われるようになっていますね。

今回は、お茶の業界で使われていた符牒のお話です。

東京都茶協同組合が創立55年を記念して発行した「東茶協五十五年の軌跡」に「符牒」についての記載の文章がありました。

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現在では茶の取引は市場取引が当たり前になっておりますが、昔の商取引は相対取引でされていたため、業界内でのみ分かればいい符牒を使って値段交渉をしていました。

数字 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
符牒
読み方 やま まる ぼう きち もう

例えば、10は「スノ」、50は「ス○」、48は「レメ」等です。数字が0で終わるときは「ス」を先につけて読んだようです。

また、業界共通の符牒の他に、独自の「内符牒(うちぶちょう)」を使う事もあったようです
 
海苔の業界でも昭和30年代頃まで相対取引が行われており、東京湾近辺の浦安地区や大森地区での海苔符牒が使われていました。

数字 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
符牒
読み方 きち かわ りき きゅう すず せん べん


例えば、35円は「川ヒ」、115円は「イ吉ヒ」等です。

さらに、陶器業界でも独自の符牒が使われていました。

数字 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
符牒
読み方 ぶん りん かん きん りょう けん じょう しゃく すん まる

例えば、55円は「両々(リョウナラ)」、30円は「貫○」、105円は「分○両」等です。

昔は、数字という無粋な物を、別な形で表現する遊び心があったのでしょうか?本では「昔の商人の取引にも穏やかな風情がありました。」と結んでいます。

昔は業界毎に異なる符牒が使われていたようで、調べてみるととても面白いかもしれませんね。